読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

民主主義に必要な改革 はてなブログ版

政治・経済・社会構造の改革案と生きる上で役立つ知識を紹介します。

インカ帝国で行われた急性硬膜外血腫の治療

インカ帝国は13世紀初頭、南米・中央アンデスに現れた帝国である 

インカとは太陽という意味でインカの人々は太陽を神として崇拝していた インカ帝国は巨石をカミソリ一枚入らぬように積み上げる建築技術や黄金の装飾品や3万キロに及ぶインカ道を建設する等優れた文明を持っていたが15世紀後半スペインに侵略され滅亡した インカ文明は文字を持っていなかったのでインカの歴史には謎が多くなぜインカが短期間で巨大帝国を建設出来たのかは謎とされている 

 

手術の痕跡 

インカ帝国の遺跡にあった遺物の中に頭頂部・後頭部・側頭部等に穴が開けられた頭蓋骨が発見された、穴の大きさは3センチから10センチ位の物が多く穴の形は丸や四角等様々ある 首都クスコ周辺で発見された頭蓋骨の20%、クスコ近くの村ワイヨスやホアロチリで発見された頭蓋骨の内40%に同様の穴が開けられていた、現在までに数百個の穴の開いた頭蓋骨が発見されている 頭蓋骨に開けられた穴の周りに骨の再生があるので生きている内に穴を開けて開けた後も暫く生きていた事が分かった 人間の全ての骨には自己再生能力が備わっている 骨の自己再生能力とは骨折や骨に穴が開けられた場合に骨を再生させる能力である 人間が死んだ後に穴を開けた場合死んだ人間の細胞は活動を停止しているため骨が再生されない 穴の周囲の骨の再生具合を調べると穴を開けてから2年以上も生きていた者もいた インカ帝国時代の遺跡で頭骸骨と共に三日月型のツミと呼ばれる刃物が袋に入った状態で発見されツミの先端に人間の血液らしき物が付着していた ツミの入っていた袋の中に細い綿や麻で作った包帯が入っていたので手術道具で頭蓋骨の穴は脳外科手術の痕であると考えた ツミらしき物を持った人物が患者らしき人物の背中にまたがり頭部にツミを当てている様子が描かれた土器を発見した、脳外科手術をかたどった物だと思われる 頭蓋骨にある程度の穴を開けることを頭蓋穿孔(ずがいせんこう)と呼びこれは現代の脳外科手術で行われている事とほぼ同じなのでインカでもツミ等の道具によって脳外科手術が行われていた可能性は充分ある インカで発見された頭蓋骨に開いた穴の状況を見ると現代の脳外科手術の頭蓋穿孔の痕に非常に良く似ているのでインカ帝国で頭蓋穿孔を行っていた可能性がある 

 

考えられるインカ文明の頭蓋穿孔の手術手順 

手術手順1麻酔 インカの人々は薬草を使って様々な病気や怪我を治療していたと言われている、マラリアの治療にはキニーネ、咳止めにはセネガという植物を服用という形で使用した 手術の麻酔にはコカの葉を使用していたと考えられる、コカの葉には麻酔作用のあるコカインを大量に含んでいる アンデスにはチチャやマサトと呼ばれるアルコール飲料があり麻酔作用を高める為にアルコール飲料をコカの葉と併用して使用していた可能性が高い 手術手順2止血 頭皮は他の部分の皮膚よりも血管が多く集まっているので下手をすると頭皮を切開しただけで400ml以上の血液が一気に流れ出てしまう インカでは頭を縄で縛って血管を圧迫し頭部の血流を止め出血をある程度抑えていたと考えられる アンデスの薬草にはタンニン酸を多く含んだ物があり強い血管収斂作用があるので薬草を服用し頭部の血管を収縮させ血流量を少なくし出血を抑えていたと考えられる 手術手順3開頭 発見された手術道具のツミや石メスを使った2つの開頭方法が考えられる 開頭方法1 ツミを使って頭蓋骨に四角く切り込みを入れて開頭する方法が考えられその方法による開頭痕がある頭蓋骨がある 開頭方法2 石メスを使って頭蓋骨に穴を開け最後に穴を繋ぐ事によって開頭する方法が考えられその方法による開頭痕がある頭蓋骨がある 

 

1953年にペルーの脳外科医がツミ等インカ時代の手術道具だけで実際の患者に頭蓋穿孔を施した 

ツミや石メスを使い現在の麻酔剤等も一切用いないでインカ時代のやり方で手術が行われた 古代の手術方法がうまくいかなかった場合に備え現代の手術道具も用意されていたが最後まで現代の手術道具が使われる事はなく手術は成功した これらの事からインカの頭蓋骨に開けられた穴は脳外科手術の痕と判明した 

 

インカの頭蓋骨に開けられた穴は急性硬膜外血腫の治療の為だと考えられる 

急性硬膜外血腫とは頭蓋骨の内側は硬膜と呼ばれる硬い膜が存在し脳を覆っていて硬膜の外側が出血し頭蓋骨との間に血液が溜まると頭蓋骨には弾力性が無い為頭蓋内圧が上がり脳を押し潰していく事になりその結果次第に意識が薄れ昏睡状態となる症状である 急性硬膜外血腫の治療法として最も効果的なのが頭蓋穿孔である 急性硬膜外血腫は何らかの外的要因が無ければ発生しない インカから発見された穴の開いた頭蓋骨は数百個にも及んでいる、もしこれらの穴が急性硬膜外血腫の治療の為に開けられたとすればインカでは急性硬膜外血腫が多発していた事になる インカで急性硬膜外血腫が多発した理由は戦闘の際の頭部への打撃によるものと考えられる 鉄の文化を持たなかったインカの人々にとって戦闘の際の主な武器は棍棒である 鋭い刃物ならば心臓や首を狙い相手に致命傷を与えられるが棍棒にはその様な切れ味が無い為棍棒で瞬時に相手を倒すには頭部への打撃が最も効果的であった 穴の開いた頭蓋骨が発見された場所は主に農耕や牧畜をしていた人々が多く住んでいたアンコンや戦闘とは無縁の人々が暮らしていたマチュピチュからは穴の開いた頭蓋骨は一つも見つかっていない、これに対しかつて砦があったと推定されているシンコセロスからは穴の開いた頭蓋骨が数多く出土している、つまり戦闘の多く行われていた地域で穴の開いた頭蓋骨が発見されている、さらに発見された頭蓋骨の内161個が頭部左側に穴が開けられており71個が右側にあり83個が両側にあった、人間の多くが右利きなので武器での打撃によって最も外傷を受け易いのは頭部左側なので頭部左側に穴が多いのは戦闘の際に棍棒での打撃によってインカ人が急性硬膜外血腫を起こし急性硬膜外血腫の治療の為に頭蓋骨に穴を開けた事が分かった 

 

インカの頭蓋穿孔で急性硬膜外血腫が治ったのか 

頭蓋穿孔を行うと硬膜の外側に溜まった血液が外に出るのでこれで患者が助かる事は充分にある インカの人々は頭蓋穿孔で出来た穴を塞がなかったのでこの為に再発を防ぐ事もあったと思われる 頭蓋穿孔によって取り除いた骨を骨弁といい現代では頭蓋穿孔を行った後にコツ弁を保護し頭皮を縫合する事で手術は完了する、しかしインカの頭蓋骨に骨弁を戻した形跡はない、また骨弁自体も発見されていない インカの頭蓋穿孔では骨弁を元に戻さず頭皮も縫合しなかったとされる これにより血液が頭蓋内に溜るのを防ぎ新たな血腫が出来るのを防いだという 

 

骨弁を戻さず頭皮も縫合しない状態で人間は生きていけるのか 

頭蓋穿孔による出血は少ないので小さな子供を除いてはそれによって体の血液が足りなくなって死ぬ事は少ない 頭蓋穿孔した後頭皮によって穴を塞いだ状態にして殺菌を続ければ頭蓋骨に穴が開いた状態でも人間は年単位で生きられるという インカで行われていた頭蓋穿孔では手術終了後開頭した頭皮をたぐり寄せ穴を塞ぎ頭皮が元に戻らない様に縄や布で固定し殺菌を続けながら生活していたと考えられる、つまりインカ帝国で行われていた頭蓋穿孔は急性硬膜外血腫の治療方法として医学的にも非常に理にかなったものだった インカの医療技術は現代の脳外科手術にも生かされている 現代の脳外科手術では麻酔剤としてインカで使われていたコカの葉から抽出されるコカイン系の薬剤が使用され現代の止血では頭皮の切れ目をクレンメというクリップで挟み血管を圧迫し血液が噴き出すのを止める、さらに血管収斂作用のあるアドレナリンを麻酔剤に混ぜ血管を収縮させ出血を抑えている これは頭部を縛って血管を圧迫し薬草で血管収斂作用をもたらすインカの技術と同じである インカの開頭方法である穴を並べて開けそれを繋ぐ方法は現代の開頭方法である穿孔器という道具を使うドリリングという穿孔器で穴を開けそれを繋ぐ方法と非常に良く似ている